レジス・カンポ <MUSIC TODAY>(harmonia mundi 1999)

  
―「ヴァイオリン協奏曲」

  ―「キンダーバル」−ピアノのための−

  ―「ソナタの書」−オルガンのための−

  ―「ロンド」−サキソフォーンと器楽合奏のための−


プログラムノート ♪

●ヴァイオリン協奏曲
この曲はオランダのガウデアムス音楽祭の委嘱に伴い作曲され、1997年秋、同音楽祭にてニュー・アンサンブル(ミヒャ・ハメル指揮)、アンジェル・ジメノのヴァイオリンソロによって初演されました。作品はダイアトニック・ペンタトニック的な旋法をベースにした1つの旋律軸がもとになっており、また、ソロ楽器とアンサンブルの関係はバロック様式の書法からヒントを得ています。冒頭で様々な楽器によって奏される断片的なメロディーが、やがてためらいがちに少しずつヴァイオリンソロのメロディーラインに集約されてゆき、その過程では呼吸音、ジェスチャー、ダンスの要素がふんだんに盛り込まれています。
この作品で試みた書法は、この曲以前に作曲された「コメディア」「アニマ」「ファンタスマゴリア」などの作品においても見られるものです。

● キンダーバル(キンダー=子供の、バル=ボール、舞踏会..)
ピアニスト、ジュヌヴィエーブ・イバネス監修のピアノ曲コレクションのため、アンリ・ルモワンヌ出版社の委嘱によって書かれたこれらの3つの作品は、妻・加奈子に捧げたものです。
最初の2曲はテンション・叙情性の点において、「ヴァイオリン協奏曲」に共通するものがあり、又3楽章は流れるような和声連結の点で「ピアノ協奏曲」に合通ずるものがあります。
(ピアノ演奏:阿部加奈子CAMPO)

●ロンド
フランス政府の委嘱作。この作品はボルドーのアンサンブル「プロクシマ・サントリ」によって初演され、同アンサンブルに捧げられました。
もとはサキソフォーンソロのための作品でしたが、第2稿でパーカッションとチェレスタの伴奏を付加しました。サーカスの演目を想定しながら作曲したのですが、このアイデアは後に「ラヴレ−の遊戯」―ヴォーカルアンサンブルと器楽伴奏のための―にも応用されることとなります。

●ソナタの書
バレンシア音楽祭、オッシュ市、フランス国営放送等の委嘱によって完成されたこれらの作品は若手オルガニスト、ジャン=クリストフ・ルベルとの長期にわたるコラボレーションの成果といえます。各楽章が、それぞれただ1つの楽想によって作曲されており、これはスカルラッティ、あるいはラモ−のクラヴサン曲などに見られる書法と同じです。「エクストラヴァガン」(‘常識を逸した’の意)は、一種の機械的ファンタジーとでもいうべきもので、そこには脅迫観念や、偽りの無邪気さ等も含まれています。

「ドン」(与えること、贈与、天賦の才)、「ニュイ」(夜)は、いずれも夜想曲。とくに「ニュイ」の方はヴィヴァルディに捧げたものです。「ラ・フォリア」は、15世紀に作られたダンス曲がベースになっています。「グルメ」は名シェフ、モーリス・コスケルエラに捧げました。実際に彼の繊細な料理を味わった後、感動のうちに書き上げたものです。「アストル」(天体・星)はこのソナタの書のうち、もっとも長く、重量感をもった曲で、軽いタッチで書かれた他のソナタとの対照をなしています。この「アストル」が、ソナタの書の中のいわゆる最頂点で、この後最後の作品「ジュビラシオン」(歓喜)が続きます。「ジュビラシオン」は一種のトッカータで、ペダルによるDoの音のオスティナートのうちにソナタの書は終了します。

このCDは、父そして亡き母の思い出に捧げます。

日本語訳:阿部加奈子CAMPO (2001.7)
作成:あべぷらん